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大学発ベンチャーの知財戦略の重要性を語る「スタートアップ×知財コミュニティイベント by IP BASE in 京都」を開催しました!

2019年12月13日、特許庁はASCII STARTUP協力のもと、大学発ベンチャーの知財戦略をテーマにした勉強会、大学発ベンチャーの知財戦略の重要性を語る「スタートアップ×知財コミュニティイベント by IP BASE in 京都(特許庁スタートアップ支援チーム)」を京都リサーチパークで開催した。

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大学にルーツを持つベンチャーやスタートアップにとって、大学内で生み出された知財の活用戦略は必要不可欠なものといえる。しかしながら限りある時間、リソースの中で十分な対応ができていないのが現実である。さらにスタートアップのビジネスは大手企業とは異なる知財戦略が必要になるケースが多く、それを支援する弁理士や知財関係者の側がスタートアップのビジネスモデルをよく知る必要も出てくる。

本イベントは、大学発ベンチャーおよびそれらベンチャーに投資するVCから見た知財戦略の実際を紹介することにより、スタートアップ関係者の知財への取組のきっかけとしてもらうとともに、関西の起業家・スタートアップ関係者と、弁理士などの知財関係者を一堂に会したコミュニティイベントとして、特許庁が推進しているスタートアップ支援施策を周知するとともに、スタートアップの成長に関わるすべての関係者の相互理解、コミュニケーションを促進することを目的としている。

イベントは2部構成となっており、第1部では特許庁が進めているスタートアップ支援の取り組みの紹介とともに、「大学発ベンチャーと知財」というテーマで大阪大学発ベンチャーである株式会社ファンペップより、大学発ベンチャーならではの知財戦略について講演があった。第2部では、関西の大学発ベンチャーおよびそれらに投資を行なっているベンチャーキャピタリストたちによるパネルディスカッションが行なわれた。

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第1部前半は「特許庁、スタートアップ支援はじめました~スタートアップの知財戦略~」と題して、特許庁企画調査課 スタートアップ支援チームの進士千尋氏から、特許庁によるスタートアップ知財戦略支援施策の紹介があった。

「事業独占や信用力の強化、他社との連携などのために知財は必要。だけど何から始めればよいかわからないというスタートアップは多い。そういうときは特許庁が用意している様々なスタートアップ施策を活用してほしい」、「これまで東京偏重だったスタートアップ業界が、関西の大学発ベンチャーに注目してきている。今回のイベントをきっかけに、今後もさらに息を意を出していきたい。」(進士氏)

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第1部後半では、大阪大学大学院医学系研究科で研究されていた機能性ペプチドを活用した創薬ベンチャー株式会社ファンペップの古関幸史氏から、大学発ベンチャーの知財戦略の実際について、大企業にはないベンチャーならではの内部事情などと合わせて講演が行なわれた。

「大企業で用いられている知財への考え方をそのままベンチャー企業に持ち込んでもうまくいかない」、「スタートアップ期は会社の骨組みを作ることと並行して知財戦略を動かさなくてはならない。これは非常に大変」、「『特許を取ること』ではなく事業・開発が前に進むことが(知財戦略の)目的」と古関氏が解説。

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第2部では、ライフサイエンス・ヘルスケア領域における20年以上の研究開発・投資経験を持つ京都大学イノベーションキャピタル株式会社 投資担当部長 上野博之氏、大阪大学発の研究成果を活用したディープテックスタートアップを対象にシードラウンド投資をしている大阪大学ベンチャーキャピタル 投資部 シニアキャピタリスト 魚谷晃氏、京都大学の研究開発の知財化やそのマネジメントを行なっている株式会社TLO京都 取締役 京大事業部門 事業部門長 古橋寛史氏、iPS細胞に関わる特許を出願し、それに基づく大学発ベンチャーの創出に向けた活動をしている京都大学 大学院医学研究科 呼吸器疾患創薬講座 山本佑樹氏に特許庁の進士氏を加えた5氏によるパネルディスカッション「VCに聞く!大学発ベンチャーが知財でやるべきこと」を実施。

(左から)上野氏、魚谷氏、古橋氏、山本氏

「グローバルでは、大学発の技術はベンチャーを経由して社会実装される。しかし日本ではこれまで大企業を経由することは一般的だった。大学がもっとベンチャーを活用するようになれば、大学発の技術の実用化がもっと活発になるのではないか」(進士氏)

「大学の将来の収益を考えると、グローバル型に行かなくてはならない。大学も短期的な収益を追うのではなく、中長期的な目線でベンチャーとモノを作っていくというやり方が日本でも定着していくと思う」(上野氏)

「成功したときにプロフィットをシェアするという考え方に立たないといけない。成功する前に大学が持っていくという考え方に立つと、大学発ベンチャーはやっていけない」(魚谷氏)

「事業を始めるときには考えてなかったことも起こるので、大学の方にも事業環境をみて契約を変更するのも大事ではないかと思う」(古橋氏)

「大学VCは大学のシーズを社会実装することを目指しているので、大学発ベンチャーにとっては味方になると考えている。これから起業する人たちは、いろいろな人に助けを求めるのが大事。自分の力だけで解決できることは少ない」(山本氏)

新産業を育成し、グローバル社会で日本がさらに発展していくためには、大学の技術を素早いフットワークで社会実装していくことが求められる。大学発ベンチャーには大学で生まれた先端技術という強みがある一方で、企業とは異なる文化を持つ大学と共同で事業展開を進める上での難しさもある。イベントを通じて、大学VCと大学発ベンチャーのコラボレーションの輪がさらに拡がることを期待する。

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