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落とし穴事例

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落とし穴7:持ち株比率が低いためにCTOが発明を出し惜しみし、継続的な知財の創出が難しくなる

よくあるケース

VCは大学の技術に注目し、自社のネットワークからCEOを採用した上で、企業設立、投資を行いました。もともとの技術を開発した研究者は大学に在席しつつ、CTOとして経営チームに兼業で参加しました。

当初は開発に意欲的なCTOによって多くの発明が出てきていましたが、途中から論文執筆のための研究に専念し、追加的な開発がなされなくなってしまいました。また、「追加の基本特許を大学で出願しているけど、この会社にはライセンスしないよ」とも言っているようです。

その後、CTOは退職をしてしまい、ベンチャー企業内の開発が進まなくなってしまいました。退職の理由として「ストックオプションに不満があった」という噂がありました。

この落とし穴の類似パターン

  • コア技術を持つ研究者が退職し、競合企業を立ち上げてしまう。その競合企業から知的財産権侵害の警告を受ける。
  • 米国の大学の研究者にもストックオプションも付与して共同研究をしたが、「ストックオプションが一般的な米国の水準に比べると少ない」という不満を持ち、非協力になってしまった。

対策:継続的に知的財産が生み出されるためのインセンティブ設計を行う

ポイント1:CTOが継続的に知財を創出できるように評価をしよう

研究開発型ベンチャー企業では、追加的な開発を含めて継続的に知財が創出される環境を整えることが不可欠。職務発明規程の整備、ストックオプションの割当などインセンティブの設計をすることが必要である。

ポイント2:職務発明規程で知財の帰属を明確にし、紛争を未然に防止する

創業期は経営チームの流動性も高いため、職務発明規程、情報管理規程などが定まっていない場合に問題が発生するケースがある。職務上行った発明が、発明者ではなくベンチャー企業に帰属することを明確にしていないと、技術者が発明と共に自社を去ると、自社には何も残らなくなってしまう。

ポイント3:資本政策でストックオプションを割り当てる

CTOや技術者へのインセンティブとしてストックオプションを発行することも有用だ。割当の際は貢献度をしっかりと評価し、あまりに多くを発行してしまって後々の資金調達に支障がでないようにすることが重要である。長期的な資本政策を考える必要がある。

参考事例
研究開発型ベンチャーではCTOのストックオプションを慎重に検討

ストックオプションの設計では創業者の人数で割った単純な均等のシェアにはせず、その創業者が持つ相対的な重要性によってシェアを検討する。とくに研究開発型ベンチャー企業では技術が競争優位性の大きな部分を占めるため、その創出を担うCTOの存在価値が相対的に高い。CTOがしっかりとリソースを振り向けて知財を創出してくれるようなシェアにするべきである。したがって、ベンチャー企業の出口とどのぐらいの追加の知財が必要なのかを逆算した上で、その知財をCTOが継続的に創出してくれるようにストックオプションのシェアを慎重に設計している。

(国内ベンチャーキャピタル)