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落とし穴事例

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落とし穴9:IPO直前に競合他社から侵害警告・訴訟を受ける

よくあるケース

ベンチャー企業は証券会社とともにIPOの準備を行っていました。新聞でもこのことが報じられ、話題となっていました。

ところがIPOの直前になり、ある個人経営の会社から特許侵害の警告を受けました。この会社と交渉を行ったところ、想定以上の高額の損害賠償と今後のロイヤルティ料率を要求されてしまいました。この紛争が上場審査に影響を及ぼす可能性が出てきましたが、IPOのスケジュールを見直すことはできません。「要求を呑むしかないのか...」ベンチャー企業と証券会社は頭を抱えました。

この落とし穴の類似パターン

  • メディアへの露出が増えてきたころに、企業名や商品・サービス名が他社の商標権を侵害しているとして警告される。
  • 投資先が行ったFTO調査の検索式の設定に不備があったため、海外の競合企業の特許権を見逃してしまい、権利行使を受けた。さらに、原告側の国で起訴されたため、地理的に不利になって敗訴した。

対策:IPOの可能性がある場合は、定期的に知的財産調査を行い、侵害リスクを減らす

ポイント1:知的財産の侵害リスクは成長とともに高まる

売上高が数十億円、数百億円と大きくなってくると競合他社にとって脅威になり、知財訴訟のターゲットになるリスクが高まる。IPO前になると係争の存在が上場審査の結果や上場タイミング、株価等に影響を及ぼすことから、ベンチャー企業の立場が弱くなってしまう。

ポイント2:製品販売後も定期的に調査を行う。投資金額に調査費用を見積っておく

製品の販売後も、競合他社の特許出願がないか定期的に調査することが望ましい。とくにIPO前はしっかりと他社特許調査を行う必要がある。シリーズB、Cラウンドの投資金額にはこうした知的財産の調査費用を含めることも有効だ。

ポイント3:権利行使に対抗する選択肢は数多い

他社から侵害警告や侵害訴訟を受けたとしても、ライセンス料を支払うことだけが選択肢ではない。自社で強い権利を持っていれば、クロスライセンスを要求することもできる。カウンターとなる特許を十分持っていない場合は、他社から反訴するための特許を買うというのも選択肢になる。

ポイント4:商標については初期に必ず確認

企業名や商品・サービス名を決定するときは、必ず他人の登録商標を確認することが重要である。後から他人の商標権を侵害していることが発覚した場合、せっかく知名度が上がり、思い入れもある名前を変更しなければならない。もしくは、他人から商標権を買い取るには多額の費用がかかる。商標の確認は、特許庁の無料データべースで比較的手軽にできるので、まずは自分で調べてみるのがよい。

J-PlatPat  https://www.j-platpat.inpit.go.jp/web/all/top/BTmTopPage
参考事例
いま使っている技術のライセンスの整理を行う

ある知財弁護士はアーリーステージの段階から他社権利の調査を行うとともに、他社技術のライセンス関係を整理している。ライセンスの整理とは、いま使っている技術やソースコードはどこの企業からもたらされたものなのかをたな卸しすることである。ライセンスの整理をした後、ライセンス交渉が難航しそうな場合は回避策を検討する。つまり、他社特許を使っていれば設計の変更、プログラムであれば開発環境を変える等の対応策を練る。

(国内弁護士事務所)