基礎
スタートアップのための分野別知財戦略の勘どころ

業種や業務、技術カテゴリーなど分野別の知財戦略を専門家にヒアリング。当該ジャンルの起業・スタートアップに必須の基礎的な知識をお届けします。

テーマ:SaaS 第2回
講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏
ユーザー端末側のアプリの特徴を権利化するには?

 
講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏

SaaS系のサービスは、基本的にはサーバーが処理をしているのですが、ユーザー側のアプリやWEB画面でも特徴のある画面遷移、特徴的な入出力処理に関しては特許を取得できる可能性があります。

SaaSは新しいビジネスモデルなので、ユーザー端末側のアプリやWEB画面でも新しい操作や画面遷移があるはずです。アプリやWEB画面の画面遷移は既存の画面遷移と似通ってしまう傾向があるかもしれませんが、新しいビジネスモデルの特徴に対応する新規な操作や新規な画面遷移を見出すことで特許取得は可能です。

特定のビジネス領域に特化した特徴的な処理の特許は、競合による模倣を未然に防止する効果があります。競合他社が似たサービスをアプリで提供する場合を想定して、アプリの利便性を確保するために行わざるを得ない特徴的なステップを抽出して、その特徴的なステップについて特許権利化するとよいでしょう。具体的には、ボタンやメニューなどのUI部分に対するユーザーの選択や操作またはユーザーの入力によって、どのような結果が表示されるのかということについて、その特徴を発明として取り出して特許権利化するイメージです。

例えば、会計処理のアプリで特徴的な仕訳処理の機能であれば、ユーザーの取引項目の入力から仕訳結果が表示される部分を取り出して特許権利化するのです。つまり、サーバーの処理方法に関わらず、そのアプリ側の処理を検証するだけで特許権の侵害であるか否かがわかるような特許を取っていくわけです。

このような特許は、競合による模倣から守ると同時に、自社サービスの処理が競合とは差別化されており、特許取得により競合がこの処理を真似できないことを顧客にアピールすることにも使えます。

特徴の探し方のヒントとしては、Webブラウザー版で提供していたサービスのモバイルアプリ版を出す場合、小さな画面やタッチ操作に適したUIに変更します。ここに特許化できるネタが出てくることがよくあるので、意識してみてください。