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第15回●「パリ優先」とは?

【シンプルに表すと?】

1883年にパリで締結された「パリ条約」による優先権のことを「パリ優先」という。優先期間は1年間。この間に外国で出願すると、新規性や進歩性の審査においては最初の出願国に出願した日を出願日と考えて判断される。

「パリ優先」とは、何でしょう?

IP BASE:海外出願をするときでも、日本で事業をしていたら普通は最初に日本で出しますよね。すると、パリ条約では優先期間が1年と定められていて、その1年以内に同じ内容で外国に出願すると、その国での新規性や進歩性の審査をするときには、日本で最初に出願した日付を基準に判断してもらえるのです。この制度が「パリ優先」です。

1年間の猶予があるわけですね。

IP BASE:はい。いきなり外国に出そうとすると、明細書を現地語に翻訳するのも大変です。最初に自国で出して、そのタイミングで出したという事実を確保しておき、翻訳などの準備などに1年かけられるわけです。

1年以内に海外出願しなかった場合、もう海外で出願できないのでしょうか?

IP BASE:一応、1年半以内であれば、出願する意味はあります。というのは、いったん出願した発明は、1年半で自動的に公開されるので、最初の出願から1年半以降に海外で出願しても、公開されてしまった最初の自身の出願によって、新規性や進歩性がなくなってしまうからです。ただし、最初の出願に対して優先権を主張できないので、新規性や進歩性などの判断においてその分不利になります。

確かに、そもそも公開されてしまったら特許にならないですね。

IP BASE:はい。ですので、最初に出願したあとの1年間は、ものすごく大事な期間になります。内容を補強するにも大事ですし、外国への戦略も考えなきゃいけない。

そこがポイントですね。もう少し時間的な猶予が欲しければ、特許協力条約(PCT)を使う、と。

IP BASE:PCTは外国での手続を行うまでに最初の出願から、30ヵ月の猶予期間がありますので、複数の国に出願する場合など、できるだけ長く時間を稼きたいときは、PCTを使うほうがいいかもしれません。