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IPAS(知財アクセラレーションプログラム)運営の手引き〜スタートアップ支援者向け知財支援プログラムのポイント!〜

「IPAS(知財アクセラレーションプログラム)運営の手引き」の刊行にあたって

 特許庁は、スタートアップ向けの知財戦略構築支援として、2018年度から知財アクセラレーションプログラム IP Acceleration program for Startups(IPAS)を始め、この4年間にのべ380社以上の応募があり、この中から、60社に対して知財戦略構築を支援してきました。

 革新的な技術やアイディアをもとに創業するスタートアップにおいて知財戦略の構築は非常に重要です。しかし、「知財についての重要性を認識しているが何をしたらよいのかわからない」、「具体的に知財についての課題を有しているもののリソース不足等で後回しになってしまっている」という課題があります。そのようなスタートアップを対象に、知財戦略を共に構築しようと始めた施策がIPASです。

 的確な知財戦略を構築するにはまずビジネス戦略がしっかり構築されることが必要です。これは知財戦略はビジネス戦略に応じて変わってくるためで、誤ったビジネス戦略に応じて知財戦略を構築すると誤った知財戦略になる可能性があります。このためIPASではビジネスの専門家と知財の専門家をチームとしてスタートアップに派遣し、まずビジネスモデルの診断を行い、それに応じて知財戦略を構築する手順を踏んでいます。(参考︓IPAS事例集2020「IPAS を通して見えた知財メンタリングの基礎」)

 更に、知財戦略構築には創業から早い段階で対応する必要があります。知財への対応が遅れると、とりうる戦略オプションが他社特許によって制限を受けるなど、思い通りのビジネス展開ができなくなる可能性があります。このためIPASでは創業から早い段階であるシード・アーリーのステージにあるスタートアップを中心に支援してきました。

 世の中を見ると、知財戦略構築のためのスタートアップ支援プログラムは、多く見かけることはないようです。このため特許庁では本冊子を作成し、4年間試行錯誤して作り上げてきたIPASの運営について、これから知財支援プログラムやその他の専門家等へのプログラムなどを企画・運営したい皆様向けに紹介することとしました。

 ただ、IPAS はあくまで1つのモデルであり、紹介する手法がどこでも、そのまま使用できるものとは限りません。本冊子で紹介する内容が、皆さまが目的とする事業の企画を立案する際の参考資料として部分的にでも役立ったり、皆様がスタートアップ支援の企画・運営にご興味を持っていただくきっかけになれば幸いです。

2022年3月 特許庁

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