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一歩先行く国内外ベンチャー企業の知的財産戦略事例集

IT
イスラエル

11:SCADAfence Ltd.
~サイバーセキュリティ産業における知財活用~

会社紹介

イスラエル軍のサイバーセキュリティ部門出身のメンバーらにより2014年に設立されたベンチャー企業。自動車産業、製薬会社、エネルギー企業などの大企業を顧客とし、サイバーセキュリティ態勢の改善を支援している。

主な製品・サービス

・Continuous Network Monitor (CNM)

Industry 4.0やIoTなどへの注目が集まる産業界ではいま、より堅固なサイバーセキュリティを求めるニーズが高まっている。その潮流のなかで同社では、イスラエル軍諜報部隊での豊富な経験をもとに、堅牢性の高いサイバーセキュリティソリューションを提供。同社が提供する継続的モニタリングサービスは自動車メーカーや化学会社、電力会社をはじめ、製油所、農業、公益事業、輸送、さらには核施設に至るまで、さまざまな施設の安心・安全の確保とオペレーションの改善に貢献している。

1. 概要イスラエル経済界のエコシステムを活用

・ニーズ先行型の技術開発戦略

同社では技術先行ではなく、ニーズ先行での技術開発に取り組んでいる。顧客・潜在顧客と話を交わし、開発する必要のある適切なサービスを見つけ、その製品に必要なテクノロジーを開発していく。

・ミートアップイベントを活用

ミートアップイベント等を通じて専門家に出会い、知財戦略についても彼らから助言を得ている。コストをかけずとも、気軽に相談できる環境に恵まれているため、現在のところ社内に知財の専門家は抱えていない。また投資家も民間から探し出し、いくつかの制約が課される政府系の資金調達は行わない方針。

・セキュリティを守るために技術は秘匿化

セキュリティを提供するとする同社では、秘匿化戦略を基本とする。アルゴリズムに関する最小の数件の特許のみを保有する。

2. 知財の活用共同事業では、各社所有知財を明確に線引き

・企業価値の証明として活用

同社における知財の役割には、投資家やパートナー企業への価値証明や、将来的な競争への計画性を立証する側面がある。VC等に対して自社技術のユニークさを証明するために特許や知的財産を活用している。

・共同事業における知財の線引き

共同事業開始時に知財弁護士を通じて、規定された企業・権利者のみに新しい知財を所有する権利を与える契約を徹底する。自社の知的財産をいつでも適切に管理できる状態あることを重要視し、自社の知的財産は自社で獲得する。特許を超えた共同事業による知財創出を活用しつつ、核心となる技術は確実に保護する。

イノベーション庁による支援

イノベーション庁(IIA、旧チーフ・サイエンティスト)は、イスラエルのエコシステム形成に寄与する各種政策を実施している。例えば財務・知財・法務面でベンチャー企業を調査・評価し、結果次第で政府出資金の支援(海外企業とのM&A/IPO時に返還義務有)や、知財取得助成支援を提案する。

アドバンスド・テクノロジー・パーク:国内の不動産企業Gav-Yam社が政府と官民連携で設計したテクノロジーパークであり、SCADAfenceもオフィスを構える。大手の会計事務所や法律事務所などの専門家オフィス、大学等研究施設、グローバル企業が誘致されているため、このパークにオフィスをもつベンチャーは、必要なヒト・情報にアクセスしやすくなる。専門家にも支援の姿勢が見られる。定期的に大企業とベンチャー企業が出会うミートアップイベントが開催され、助言や協力を得るケースが多い。

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