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一歩先行く国内外ベンチャー企業の知的財産戦略事例集

IT
シンガポール

17:ViSenze
~大学発特許を社会で活用できるかたちへ~

会社紹介

シンガポールを基盤とした人口知能ベンチャー企業。シンガポール国立大学と中国の清華大学が共同設立した研究センター「NExT」からスピンオフするかたちで起業された。

主な製品・サービス

・VISUAL COMMERCE

機械学習をベースとする画像/映像認識・検索技術を活用したeコマースAPIを展開。オンラインショッピングのユーザーが気になった洋服の写真をアップロードして検索することができるほか、画像の特徴を自動でタグ付けするシステムや、SNS上で閲覧している画像や映像を認識して、類似した商品をユーザーへレコメンドしたりできるようなシステムを開発している。

多くの日本企業からも注目を浴びており、ユニクロや楽天などのオンラインショッピングサイトのプラットフォーム上ではすでに導入・活用されている。

1. 概要大学で生まれた知財を社会で使えるソリューションへ

・大学にストックされた知財を社会に役立つ形へ

シンガポールでは、大学が積極的に多くの特許を取得する傾向にある。これは、国内に4つしか大学がないため国からの援助が豊富に行き渡ることや、学術だけでなく産業へのフォーカスが重視され、特許取得数のKPIが設定されていることなどに由来している。しかし、取得された特許は、ただ特許として留まり、社会へ役立つかたちへ変換されていないことも多い。ViSenzeでは、こうした大学のIPを社会ソリューションへ移行させていくことを得意としている。特に同社は、IP取得者を雇用することを重視。実際にIPの取得者自身が問題解決に向き合うことで、市場ニーズに対してギャップのない技術なサービス提供を実現している。

2. 知財の活用企業価値を上げるための特許

・防衛策としての特許活用

同社では現在、主にディフェンス面のアプローチから特許を取得。アメリカや日本などの市場で競合と戦っていくためにパテントを取得している。特に日本の企業では特許について正確に評価していく傾向があるので特許をしっかりと取得している。

・企業の価値を上げるための特許

同社での特許取得は、すべて事業のバリエーションを増やし、企業価値を上げることにつながっている。そのため、ライセンスアウトについては考えていない。

シンガポール国立大学のベンチャー企業支援

シンガポール国立大学(National University of Singapore, NUS)には、NUS Enterpriseという組織を中心に、研究施設の提供や特許使用も含め、ベンチャー企業へ向けたサポートメニューがリストアップされており、多くのベンチャー企業が、それらを活用している。

NUSはベンチャー企業へ友好的な姿勢をもっており、様々な支援を優れた条件で提供。例えば知財権のライセンス料についても、大学側は使用料で利益を得る形ではなく、ベンチャー企業を通じて社会へ役立つかという視点を重視。初めから高いライセンス料を徴収せず、知財権を使ってサービスが展開されたあと、最終的に時間をかけて見返りを受けるというアメリカの大学で成功したモデルを活用している。

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