会社紹介
プロジェクト、コンテストやコンペ、ワークショップをクラウドソーシングすることができるモバイルイノベーション管理ツールやソリューションを提供する中国発のベンチャー企業。清華大学やスタンフォード大学などの出身者で構成されており、ソフトウェアや人工知能に関する豊富な経験を共有している。
主な製品・サービス
・「Virtual Workshop」「Business Intelligent」
コミュニティ構築や大規模なプロジェクト管理、データ管理を可能にするイノベーション管理に最適なモバイルアプリ。すでに中国ではアリババやハイアール、オートデスクなどの大企業をクライアントとしている実績がある。
1. 概要
同社が事業を展開しているAI領域では、現在オープンソース化の流れが生まれている。もちろん特許の取得は自社技術を守り、プロファイルを上げていくために非常に重要な戦略となるが、オープンソースの活用も、新しいコミュニティとの有益な情報交換と研究速度のスピードアップにつながるため、大きなメリットがある。
同社ではオープンソースとIPプロテクションは必ずしもゼロサムの排反的な関係ではないととらえており、双方のメリットを鑑みる。製品の独自性を担保する技術については知財として保護しつつ、製品そのものを促進するための技術についてはオープンイノベーションを活用して積極的に事業を展開している。
2. 知財の活用
同社では以下に示す認証取得のためにも、年間の特許取得目標を立てるほか、社内アワードを設置して特許取得へ向けた奨励策を実施してきた。具体的には2ステップを設定しており、まず社内審査の通過によって賞金を付与。第2段階目として実際に出願して特許取得された際にエキストラボーナスを追加するようにしている。最終的に権利は会社名義になるが、特許状には発明者の名前を記載することで記載されることで、個人の実績として企業から正式な評価を与える。
また、モチベーション維持のためにはフィードバックまでの期間を重要だと考えており、なるべく早く開発者へインセンティブが渡るように気を配っている。
なお、同社では中国政府の「ナショナルハイテクカンパニー」認証を2017年に取得した。
中国政府のベンチャー企業認定「ナショナルハイテクカンパニー」
中国では「ナショナルハイテクカンパニー」という国家認証制度があり、この認証を受けると銀行からの資金調達をはじめ、さまざまなかたちでの優遇を受けることができる。
認証を取得するためには業種などに応じた条件が用意されており、研究開発費のトータルコストに占める割合やメンバーの学位構成のほか、知財権の取得に関する規定も存在。例えば、広東省では、10件以上の知財権の取得がその認定要件となっており、多くのベンチャー企業がそれをターゲットに活動している。
これらの基準は、創業時どのように事業を展開してよいかわからないベンチャー企業にとっては、一つのベースラインや指針となる役割も果たしている。
もちろんベンチャーキャピタルや新たなファンドからの資金援助などを得るためには、並行してビジネスモデルの設計や収益構造についても整備していく必要があるが、本認証制度は、ベンチャー企業が事業をスタートしていくための指針として大きく機能している。