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第7回 IP BASE AWARD 授賞式開催レポート

FY2025 IP BASE AWARD

特許庁は2026年3月3日、知財で目覚ましい取り組みをしたスタートアップ、およびスタートアップ支援者を表彰する「第7回IP BASE AWARD」の授賞式を開催した(「JID2026 by ASCIISTARTUP」内で同時開催)。

IP BASE AWARDは、「国内スタートアップ知財エコシステムの形成」をテーマに、戦略的な知財権の取得・活用を積極的に実施している未上場かつ設立10年以内のスタートアップを対象にした「スタートアップ部門」と、スタートアップ知財エコシステムの活性化に貢献している個人・組織(弁理士、弁護士、VC、投資家、アクセラレーター、インキュベーター、企業、研究機関、大学関係者など)を対象とした「スタートアップ支援者部門」の2部門で表彰を行うもの。第7回目となる今回は、昨年度に引き続き、スタートアップ部門のファイナリスト企業が自社の取り組みをプレゼンするピッチ審査が行われた。


【スタートアップ部門】グランプリ

エピストラ株式会社
<プロフィール>
ライフサイエンス・バイオ分野で、独自開発の機械学習・数理最適化技術を用いたAIソリューションを提供。大手製薬会社などで60件以上の生産性改善実績を誇る。
▶エピストラ株式会社

<受賞理由>
コア技術である逐次最適化の全過程を網羅的に権利化すると共に模倣困難な部分を秘匿化し、そのうえで、それらの知的財産を活用して、大企業の対等なパートナーとしてライセンス契約、およびレベニューシェア契約に結実させ、技術・実績・知財によりスケーラブルなビジネスを実現している点が高く評価された。

エピストラ株式会社 代表取締役 小澤氏 エピストラ株式会社 代表取締役 小澤 陽介氏

【スタートアップ部門】オーディエンス賞・奨励賞(ダブル受賞)

株式会社ゼロボード
<プロフィール>
温室効果ガス排出量の算定・可視化ソリューション「Zeroboard」を中核に、企業のサステナビリティ経営を支援する各種クラウドソリューションとコンサルティングを提供している。
▶株式会社ゼロボード

<受賞理由>
全社的に知的財産創出の取り組みを行い、アイデア創出と知財創出を推進する企業文化の形成が、200件を超える特許出願による網羅的な知財の権利化に繋がっている点や、カーボンニュートラル社会への大転換期において集中的に特許を取得するブルーオーシャン戦略が評価された。

株式会社ゼロボード 渡慶次氏 株式会社ゼロボード 代表取締役 渡慶次 道隆氏

【スタートアップ部門】奨励賞

EAGLYS株式会社
<プロフィール>
「秘密計算×AI」であらゆるデータの価値を向上するスタートアップ企業。企業間の実験データを集合させた秘密計算AIで開発を効率化するプロダクトEAGLYS ALCHEMISTAや、企業内に潜在する知見や経験を掘り起こし活用するEAGLYS MINING AIなど、AIの転換期におけるインダストリーデータ活用を支援し続けている。
▶EAGLYS株式会社

<受賞理由>
企業連携のための論文によるアピールと、特許による保護に基づくオープンクローズ戦略を充実させている点や、知財を活用して市場環境を見極め、ピボットしたビジネスモデルを強固に支える特許ポートフォリオ構築に努め、資金調達へと繋げた点が評価された。また、知財チームの形成において、様々な専門家と積極的に交流する中でベストな人材を獲得し、組織づくりの面でも優れた取り組みを実践している。

EAGLYS株式会社 今林 広樹氏 EAGLYS株式会社 代表取締役社長 今林 広樹氏

【スタートアップ支援者部門】グランプリ

島田 淳司氏(AN Venture Partners)
<プロフィール>
大阪大学工学部卒業後、大手特許法律事務所にてキャリアを開始。知的財産戦略を基盤に、技術評価・権利化・紛争対応まで幅広く従事。2005年に武田薬品工業株式会社に入社。知的財産部にてAmgen JapanおよびNycomedの買収案件に関与するとともに、50件以上のライセンス案件を担当。事業戦略と連動したIPマネジメントを推進。2010年、IE Business School(スペイン)にてMBA取得。2011年よりTakeda Pharmaceutical International(シカゴ)に出向し、Global Licensing & Business Development部門 Directorとして、米国バイオベンチャーとのライセンス交渉およびM&A案件を主導。2014年、帰国後バイエル薬品株式会社 経営企画本部シニアマネジャーに就任。全社経営戦略、がん領域の製品戦略、事業開発を担当し、MSDとの約500億円規模の製品提携を統括。2018年、東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)に参画。ライフサイエンス分野を中心に投資およびハンズオン支援を担当し、経営戦略・事業開発・知財戦略をリード。投資先には、後にModernaによりM&AされたOriCiro GenomicsやSOLA Biosciencesなどがある。2024年、AN Venture Partnersに参画。日本発の世界水準のスタートアップ創出を目指し、グローバル展開を見据えた投資および戦略支援を推進。広島大学客員教授、長崎大学客員教授。
▶AN Venture Partners

<受賞理由>
知財の権利化支援にとどまらず、新規事業の構築からM&A・IPOにおける知財評価やバリュエーション交渉までを一貫してリードできる。IPOや M&A支援の多数の実績に加え、ガイドライン策定にも参画し、個社支援とスタートアップエコシステム構築の両輪で、日本のスタートアップ知財支援に大きく貢献している。

島田 淳司氏(AN Venture Partners) AN Venture Partners シニア・プリンシパル 島田 淳司氏

【スタートアップ支援者部門】奨励賞

石井琢哉氏(弁理士法人セリオ国際特許事務所 パートナー弁理士)
<プロフィール>
大学院修了後、主に豪雨災害・地球温暖化予測等の研究や防災システム化業務に従事。
その後、IPランドスケープ、VC向けの知財デューデリジェンス、スタートアップ支援等、
幅広い技術分野において知財が絡む調査・コンサルティングを行っている。
▶弁理士法人セリオ国際特許事務所

<受賞理由>
IPランドスケープを核にスタートアップの競争優位に直結する知財戦略の構築支援を行っている点や、自らのノウハウを著書や講演を通じて普及させることで、スタートアップエコシステムのレベルアップをけん引する実績を評価。

石井琢哉氏(弁理士法人セリオ国際特許事務所 パートナー弁理士) 弁理士法人セリオ国際特許事務所 パートナー弁理士 石井 琢哉氏

廣瀬隆行氏(廣瀬国際特許事務所)
<プロフィール>
東京大学教養学部卒業、同大学院修士課程修了。企業知的財産部での勤務中の1999年に弁理士試験合格。
阿部・井窪・片山法律事務所で経験を積んだ後、2007年に廣瀬国際特許事務所を設立し独立。専門は特許を中心とした知的財産全般。
2004年より知的財産関係専門委員(知財高等裁判所・東京地方裁判所配属)を務めるほか、日本知的財産仲裁センターの調停人・仲裁人・判定人候補者としても活動。
厚生労働省の医療系ベンチャー・トータルサポート事業(MEDISO)および介護系スタートアップ支援事業(CARISO)のサポーターとして、スタートアップ支援にも注力している。
複数企業の顧問を務め、大学や企業向けに知的財産戦略に関する講演も多数実施。
▶廣瀬国際特許事務所

<受賞理由>
多数のスタートアップの成長を、知財面から長年にわたり支えてきた実績を持つ。知財部門を持たないスタートアップに対し、外部の知財部のような立場で継続的に伴走するスタイルを確立し、多くの後進にとってのロールモデルとなっている。

廣瀬隆行氏(廣瀬国際特許事務所) 廣瀬国際特許事務所 廣瀬 隆行氏

松本文彦氏(松本特許事務所)
<プロフィール>
メーカーで製品設計、試作、量産立上げ等を経験した後、広島市内の特許事務所で特許実務を約 10 年行い、独立。
専門は機械・IT 系の特許。知財部が無い企業への支援を得意とし、広島を中心に東京から鹿児島まで約 400 社の中小企業およびスタートアップに対して知財サービスを提供している。
その企業の一部とは、知財顧問または CIPOとしてより深く関わっている。
▶松本特許事務所

<受賞理由>
広島を拠点に「地方エコシステム」に貢献を果たしている点や、創業初期からCIPO・知財顧問として深く入り込み、出願・秘匿・契約を一体で捉え、知財支援を行っている点を評価。

松本文彦氏(松本特許事務所) 松本特許事務所 松本 文彦氏

一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J)
<プロフィール>
LINK-Jは、三井不動産株式会社と産学の有志が中心となって設立した一般社団法人です。
医薬関連企業が集積する東京・日本橋エリアを本拠点に、産官学連携によるライフサイエンス領域でのオープンイノベーションを促進し、新産業創造を支援することを目的としています。
医学をはじめ、理学や工学、ICTや人工知能といった新たなテクノロジーなど、あらゆる科学の複合領域であるライフサイエンス領域において、分野を超えた内外の人的交流・技術交流を促進していきます。
▶LINK-J 公式サイト

<受賞理由>
ライフサイエンス領域における最大級コミュニティを基盤に、専門家とのマッチングやイベント開催など、スタートアップが知財支援にアクセスするための機会を提供している点を評価。

一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J) 高橋氏 一般社団法人ライフサイエンス・イノベーション・ネットワーク・ジャパン(LINK-J) 事務局長 高橋 俊一氏

suiP(start-up intellectual Property)
<プロフィール>
suiP(start-up intellectual Property)は、”スタートアップに知財を浸透させる”というMissionを掲げ、スタートアップのインハウス知財責任者・担当者等により構成されるコミュニティです。
各メンバーの業務上の課題をオンライン・オフラインで意見交換したり、互いの知見を共有したりしながら、それぞれのスタートアップの知財活動を活性化するとともに、関連する組織(特許庁等)と密に連携することでスタートアップに知財を浸透させることを目指します。
▶suiP

<受賞理由>
スタートアップやVCのインハウス知財人材だけで構成されるコミュニティとして、「互助会」形式で情報共有を行い、スタートアップエコシステムにおける知財担当者のネットワーク形成に貢献している点を評価。

suiP 佐々木氏、市川氏 suiP 佐々木 純氏、市川 茂氏



※IP BASE AWARD特設サイトにて、第7回IP BASE AWARD 授賞式イベントのアーカイブ配信を行っています。スタートアップ部門ファイナリストによる公開ピッチ審査や、スタートアップ支援者部門のプレゼンテーションなどで、上記受賞者の取り組みをご覧いただけます。
▶IP BASE AWARD特設サイト

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