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イベントレポート

「IPナレッジベース」コミュニティーイベント in 大阪を開催しました!

2019年1月21日、特許庁とASCII STARTUPの共催で、スタートアップの知財戦略を支援するセミナーイベント『「IPナレッジベース」コミュニティーイベント in 大阪』を、大阪のインキュベーション施設「大阪イノベーションハブ」で開催した。このイベントは、企業の成長や資金調達に必要不可欠な知的財産権の取得に向けた、スタートアップと知財専門家のマッチングを目的としている。

第1部は「なぜ今、"Startup×知財"か」というテーマで、特許庁企画調査課ベンチャー支援班の貝沼憲司氏が、現在特許庁が推進しているスタートアップの支援施策について講演を行った。

(経済産業省特許庁 企画調査課 ベンチャー支援班 課長補佐 貝沼憲司氏)

貝沼氏はまず、日本のスタートアップの多くが知財戦略に十分なリソースを割けていない現状について課題提起を行い、それを解決するためにも知財の専門家である弁理士とスタートアップとの接点の場を創出することは極めて重要であると述べた。

今回のイベントはそのリアルの場として企画されたものであり、またネットにおいても、スタートアップやベンチャー・キャピタル、アクセラレータなどと、弁理士や弁護士などの知財専門家とをつなぐ知財コミュニティポータルサイト“IP BASE”が開設されている。

現在はまだ知財戦略に関する基礎知識や事例集、支援施策やイベントなどの公開情報がアップされ始めたところだが、今後は登録メンバー限定のインタラクティブな機能も提供予定で、日本中のスタートアップや知財関係者が集う場となることを目指す。従来より実施されている、知財専門家をスタートアップに派遣するIPAS(知財アクセラレーションプログラム)、スタートアップの海外進出を支援するJIP(JETRO Innovation Program)、特許のスーパー早期審査や審査手数料の減免施策などと併せ、スタートアップの知財戦略進化を後押しする。

第2部では、「スタートアップの知財戦略パネルディスカッション」と題して、スタートアップが抱える知財戦略上の課題を、知財専門家にぶつけるパネルディスカッションが行われた。登壇したスタートアップの代表は、株式会社Be&Doの石見一女氏、あっと株式会社の武野團氏、株式会社Momoの大津真人氏の三氏。各社の事業内容に関連した具体的な事案を、貝沼氏と、各省庁でAIデータの利用に関する契約ガイドラインの策定や、IPASの知財メンターを担当している弁護士の内田誠氏が回答する形式でディスカッションが進められた。

石見氏からは、Be&Do社が提供する目標管理ソリューションHabi*doをプラットフォームとして展開する場合の、外部データの利活用に関する注意点について質疑応答がなされた。武野氏からは日本国内で取得した特許の海外展開について質問があった。大津氏との間では攻めの特許と守りの特許という観点から、その意味の違いや範囲の広さなどについて議論がなされた。

(株式会社Be&Do 代表取締役/CEO 石見一女氏)

(あっと株式会社 代表取締役 武野 團氏)

(株式会社Momo 代表取締役社長 大津真人氏)

(iCraft法律事務所 弁護士・弁理士 内田誠氏)

ディスカッションが一巡した後、各社が知財に注目するに至ったきっかけに話題が移った。そこでは、過去にあった商標トラブルや特許の取得が資金調達に極めて有効であったことなど、スタートアップだからこそ知財の管理が必要であるという具体的な事例が提示された。

イベントを締めくくるのは、本日のメインイベントとも言われた会場参加者同士のマッチングセッション。スタートアップからの参加者が名刺交換の傍ら日頃の知財利活用について知財専門家からアドバイスを受けたり、弁理士がスタートアップのニーズをヒアリングする姿が見受けられた。このイベントが多くのスタートアップにおける知財戦略構築のきっかけになることを期待する。

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