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イベント告知・レポート

TIBラーニング「自社の事業を守るために起業前から知っておきたい特許・商標の基礎知識」に参加しました!

 一般社団法人徳島イノベーションベースは2023年1月24日、起業家が有用な知識を学ぶラーニングプログラム「自社の事業を守るために起業前から知っておきたい特許・商標の基礎知識」を特許庁スタートアップ支援班と株式会社角川アスキー総合研究所の協力のもとに開催した。ラーニングでは、イノベーションブリッジ合同会社 代表/弁理士の瀧本氏が特許と商標の基礎知識と知財を活用したブランディング戦略を事例交えて解説。また特許庁の芝沼氏が講演し、スタートアップの知財活用を支援する特許庁の施策について紹介した。

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司会の南部 真也氏(左)、イノベーションブリッジ合同会社 代表 瀧本 裕子氏(右)、特許庁総務部企画調査課 課長補佐 芝沼 隆太氏(下)

 瀧本氏は、「自社の事業を守るために起業前から知っておきたい特許・商標の基礎知識」をテーマにビジネスに必須の知財の基礎知識とブランディング戦略について講義を展開した。

■起業前から知っておきたい特許・知財などの基礎知識

 知的財産権は、産業財産権(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)のほか、著作権、回路配置権、地理的表示、商号などがあり、創造者に一定期間与えられる独占権だ。

 スマートフォンを例にとると、高度な技術に関する発明は「特許権」、機器構造に関する考案は「実用新案権」、見た目のデザインは「意匠権」、メーカーやキャリアの名称やマークなどは「商標権」、コンテンツは「著作権」等、と複数の知的財産権で保護することができる。

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※出典:特許庁ホームページより

 スタートアップにとって知的財産権の取得は、他社への参入障壁、ライセンスによる事業拡大、技術の強みを可視化することによる技術開発力の向上、自社ブランドの構築による販売力のアップ、発明の報奨制度で社内活性化など多くのメリットがある。

■製品やサービス発表時に必須の商標(ブランド)対応

 品質と価格は同じで、ロゴの有無のみが異なる2社の商品をみたとき、多くの人は有名ブランドのロゴのついた商品を選ぶ。理由は、消費者のブランドイメージだ。ブランドは、他社製品との違いを明確に伝える目印であり、ブランドイメージが良ければ消費者に選ばれやすくなる。

 ブランド戦略とは、ユーザーの頭の中に自社のイメージを定着させるための活動であり、強いブランド力があれば、店舗の立地競争や価格競争を回避でき、外部環境に左右されにくくなる。

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■自社の商標や知財を利用したブランディング戦略

 ブランドは、(1)商圏での自社ポジショニング設定(現状把握と将来設計)、(2)ブランドコンセプトの構築、(3)知財によるブランドプロテクション、(4)PR・広告などで商品価値を周知させるブランドを育成――の4つの流れで進めていく。

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 ブランドポジショニングは、商品の強み、市場のニーズ、企業の意思を明確にして考えていく。次に、これらの強み、ニーズ、企業の意思からブランドコンセプトを構築。続いて、まずブランドの名称を決めて、商標登録し、商品の製法などに関する技術は特許と実用新案、パッケージなどのデザインを意匠で保護する。

 ただし、名称を考える際には、他人の登録商標でないこと、また他人が使用している有名な名称を必ず確認すること。他人の登録商標や著名商標を無断で使用すると、使用の差し止めや損害賠償など、ビジネスに深刻な影響を受けてしまうので要注意だ。

 特許情報プラットフォーム「J-PlatPat」を使うと、自分たちが使用したい名称と似た名称が登録されていないかを手軽に調べられる。J-PlatPatでの商標検索では、「呼称(類似検索)」を選択するのがポイント。よく誤解されているが、商標は、完全に一致する名前がなければ登録できるわけではない。商標の「読み、見た目、意味」が似ていると登録できない場合があるからだ。なお、J-PlatPatの検索だけでは類似が抜け落ちることもあるので、出願する際には一度専門家に相談するといいだろう。

 普通名称のように使われている言葉の中にも登録商標のものがあるので、広告等でうっかり使用しないように気を付けたい。また商標登録されていなくても、他社の著名な商標は使用できないので注意しよう。

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 最後のブランド育成では、ブランドを広めるためにプレスリリース、記者発表会、プレスツアーなどマスメディアの活用、自社ウェブサイトやSNS、YouTubeを利用するのも有効だ。特に動画は技術や特徴の見える化を図りやすい。英語でも配信すると海外販路の開拓にもつながる。

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■特許庁のスタートアップ支援施策

 後半は、特許庁総務部調査課スタートアップ支援班の芝沼氏は、スタートアップ向けの知財支援施策について紹介した。

 スタートアップの企業価値は、「技術・アイデア(知財)」に集約される。しかし、特許庁が2021年度に実施した知財意識の調査では、「創業時に知財戦略が経営戦略に組み込まれている」と回答したスタートアップは知財が重視される医療や福祉分野でも半数程度に留まっており、スタートアップコミュニティの知財意識は低い。

 創業期スタートアップにおける知財活用による効果には、「資金調達への貢献」から「信用力・ブランド力の向上」、「業務提携等への寄与」、「競合企業の参入防止」などがある。

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 特許庁は、スタートアップの知財意識の向上と知財戦略の構築を促進するため、知財アクセラレーションプログラム(IPAS)と知財コミュニティ「IP BASE」の2つの施策を実施している。

 IPASは、ビジネスの専門家と知財専門家をスタートアップに派遣し、ビジネス戦略に連動した知財戦略の構築を支援するもの。2022年度は25社を採択し、5ヵ月間のメンタリングを実施している。過去のIPASで見えてきた課題や成果をまとめた事例集をIP BASEサイトで公開中だ。

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 スタートアップ向け知財コミュニティ「IP BASE」は、ウェブサイトによる情報発信、事例集の掲載、会員向け勉強会の開催、知財専門家の検索機能を提供している。また、全国のセミナーイベント登壇やYouTube番組での情報発信、知財活動に取り組むスタートアップや関係者を表彰する「IP BASE AWARD」なども実施している。

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 新しい施策として、2022年度からベンチャーキャピタルへの知財専門家派遣調査事業を試行的に開始しており、2023年度からは本格的に実施予定だ。

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 その他、最短2.5か月程度で審査結果が出るスーパー早期審査、特許の手数料が3分の1になる手数料軽減措置などを実施している。詳しくはIP BASEに掲載しているので、これら支援を上手に活用しよう。

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