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落とし穴3:共同研究契約の条件で知的財産の活用に制約がつき、大学からライセンスできなくなる

よくあるケース

VCは大学の研究成果に着目し、研究者とともにベンチャー企業の設立に向けた準備を行うことになりました。

大学から知的財産権のライセンスを受けようとしたのですが、その権利は大学単独での権利ではなく、共同研究先の企業との共有特許であることが判明しました。ライセンスのためには共有先の同意を得る必要があったのです。

研究者とVCは大学と一緒に共有先の企業との交渉を行いましたが、企業にとってはベンチャー企業へライセンスするインセンティブはなく、「自社で事業化はしないけど、万一の場合には競合するから念のため」という理由でベンチャー企業へのライセンスの同意が得られず、会社設立が頓挫してしまいました。

この落とし穴の類似パターン

  • ある研究室のポスドクが起業を考えていたが、研究室の教授はベンチャー設立に関心がなく、共同研究費の獲得に熱心であり、企業に優位な共同研究契約を結んでしまう。

対策:共同研究の前段階からベンチャー設立を構想し、共同研究契約の知財条項に反映する

ポイント1:共同研究を活用したベンチャー設立の可能性をあらかじめ想定する

企業との共同研究成果をもとにベンチャー企業を設立する場合は、共同研究契約の条項が設立のネックになることも少なくない。特に複数の企業との共同研究を行う場合は、成果に対する権利の取り扱いについて注意が必要である。漫然と共同研究を行うのではなく、契約前にベンチャー企業設立が想定されるかどうかを検討し、企業と交渉していくことが重要である。

ポイント2:大学の共同研究契約フォーマットのライセンス条項に注意する

大学が企業と共同研究を行う場合には、大学の共同研究契約のフォーマットを活用する場合があるが、ベンチャー企業設立が想定される場合は、研究成果のベンチャー企業へのライセンスに制約がないかどうか、フォーマットの条項を確認することが重要である。

ポイント3:共同研究とは別に、ベンチャー設立に必要な知的財産を単独で権利化する

ベンチャー企業設立が想定されるテーマですでに共同研究を行っており、共有特許のライセンスに制約がある場合、企業と大学が互いにWin-Winになるように交渉したり、必要な知財を大学単独で(共同研究とは別に)出願し権利化することも有効。

参考事例
共同研究とは別の実現方法の技術を単独で出願

VCがある大学研究者の研究に着目したが、その研究は企業との共同研究をもとにしたものであった。共同研究契約では大学の契約フォーマットを活用しており、もし特許を共同出願してしまうと、ライセンスにあたって、共有先から同意が得られない可能性もあった。

そこでVCは研究者と相談し、ベンチャー企業設立にあたって、共同研究とは別の実現方法の技術を新しく開発し、大学で単独出願を行い、ライセンスに制約がつかないようにした。

(国内ベンチャーキャピタル)

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