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落とし穴事例

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落とし穴6:知財がビジネスモデルと対応していない

よくあるケース

大学発のコア技術を有するベンチャー企業は、投資家から紹介された事業会社とPoC(Proof of Concept:概念実証)を実施しました。PoCを実施する中で、新しい市場ニーズを発見し、そこが最も可能性の高い市場ということがわかりました。そこでターゲットとする市場を異なる市場へとシフトしました。 

しかし、当初想定していなかった市場のため、追加的な開発を実施しましたが、知財の権利化を忘れていました。その後、周辺特許を事業会社が出願していることがわかり、事業戦略を練り直すことになりました。

この落とし穴の類似パターン

  • 出願後の手続きなどを知財専門家に任せきりにしていたら、最終的な権利範囲がビジネスに合っていないものになっていた。

対策:事業範囲をカバーする知財戦略を立て、実行する

ポイント1:まずビジネスモデル、EXITに知財を合致させよう

ビジネスモデル、市場、EXITに応じて、必要な知財戦略(権利化や秘匿化、オープン化など。権利化する場合は権利範囲など)は異なる。当初からこれらを見据えた知財戦略を考えることが非常に重要である。

ポイント2:ピボットしたら知財と対応しているか確認する

シード・アーリー段階では、技術、市場のピボットが起こる。ピボットが起こった場合には、その都度、知財権を確認し、権利範囲がずれている場合には整合させていく必要がある。さらには、できればピボットを想定して当初から可能な限り広い権利を取っておくこと、優先権や分割出願を活用して特許出願を継続中にしておき、ピボットに対応できる状態にしておくことも有効だ。

ポイント3:知財の取得をマイルストーンとして設定する

投資家は、ピボット対応を含めた知財の確保を投資マイルストーンとして活用することもできる。企業の成長ステージに応じて、確保すべき権利が適切であるか見直していくことが重要である。

参考事例
経営者、投資家、弁理士の定例会で知財戦略を検討し、見直す

モバイル・インターネットキャピタルでは、数ヶ月おきにベンチャー企業の経営者、弁理士、投資家の3者で、知財戦略の検討や見直しを行っている。

知財戦略を経営者と弁理士に任せっきりにせず、投資家が同席することで「将来の技術」、「将来のビジネス」、「将来のアライアンス先・競合企業」といった投資家ならではの観点からの助言を行うことができ、知財戦略の視点を広げることができる。

また近年、技術やビジネスが変化するスピードが加速し、ピボットをすることも少なくないが、その際に知財はピボット前のままで放置されてしまうリスクがある。定期的な知財戦略の見直しは、ピボットに対応した出願中の案件の補正や追加出願の検討、周辺特許の出願等のタイムリー、スピーディな対応につながる。

(モバイル・インターネットキャピタル)

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