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第12回●「無効理由」とは?

【シンプルに表すと?】

特許や実用新案登録、意匠登録、商標登録が無効となる理由。成立した特許にも、無効理由が潜んでいることがあり、無効理由を申し立てて認められれば、その権利は最初からなかったものとされる。

特許になっても無効になってしまうことがあるのですか?

IP BASE:特許審査を通っても、つぶされる理由が爆弾のように潜んでいることがあります。これを「無効理由」と言います。例えば、同じような特許が既にあるのに、審査で通り抜けてしまい、爆弾を抱えたまま特許ができあがってしまう。これをあとから指摘され特許無効審判を請求されると無効性が争われ、審判や裁判によって特許が無効になる場合があります。

つまり、誰かに訴えられるとその爆弾が爆発する。このとき爆発させたいのは、誰なのでしょう?

IP BASE:主に競合ですね。しばらくは訴えずに、泳がされている可能性もあります。事業が大きくなった頃に「よし、爆発させるか」と、無効理由を申し立ててくるわけです。

実際に争いになるケースはあるのですか?

IP BASE:それなりにありますよ。リスクとして考えておく必要があります。無効にしたい側は特許をつぶそうと証拠を揃えて攻めてきますし、特許を持っている側は当然ディフェンスしますし、お互いに争うことになります。

他社の特許に邪魔されている場合は、そこを突けるかもしれない、と。

IP BASE:そうです。競合が特許を持っていても無効理由が見つかれば、タイミングを見てつぶしにかかることもできるわけです。邪魔な特許に対しては無効理由がないかを必死に探すこともあります。

知財専門家は特許が防御となっているか、もしくは攻撃しやすいかを考えて、戦略を練っているわけですね。

IP BASE:特許権侵害を争う裁判でも、訴えられた側は特許権者への攻撃材料として、まず特許の無効理由を探し、特許にはそもそも無効理由があるから特許権は行使できないと反論することはよくあります。逆に、特許権者側はこのような反論に耐える特許でないと、訴訟に勝てないともいえます。

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