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SaaS連載

テーマ:SaaS 第5回
講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏
特許費用はどうやって捻出する?

講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏

多くのSaaSは、利用者が増えないと利益が出ない薄利多売なビジネスモデルです。売上が立たないうちは、特許費用の捻出に苦労すると思います。しかし将来、競合が出てきたときに模倣されないための予防策として特許を取るのであれば、サービスをリリースする前に特許出願しておく必要があります。

特許費用を確保する方法としては、融資や投資家からの支援を受ける際に、あらかじめサービスの機能的な特徴と、取得したい特許について説明し、そのための資金にいくらかかるのかを提示して相談してみるといいでしょう。また、自治体の補助金や助成金制度をうまく活用するのも手です。

出願にかかる費用は、弁理士に特許出願書類を書いてもらうための手数料として30~60万円ほどがかかります。出願後も審査請求費用や拒絶理由通知が通知される毎にその対応費用などの追加費用が生じます。ただし、出願から3年間は審査請求が猶予されているので、審査請求をしなければ当分の間はこれらの追加費用がかかりません。資金に余裕がないうちは出願だけを先に済ませておき、資金調達した時点で審査請求を進める方法も考えられます。逆に、投資家から資金調達をする際には、知財の出願状況を確認されることがあるので、出願さえしておけば資金調達にプラスに働きます。

大企業と連携する場合は、特許の有無は大きく影響します。特許を取得してなかったために、スタートアップ側の技術やノウハウがすべて大企業側に吸収されるケースはしばしば見受けられます。こうしたトラブルを避けるためにも、独自の技術については、特許権や意匠権を押さえておくことが肝心です。

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