SaaS連載
テーマ:SaaS 第4回
講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏
サービスや機能の特徴を意匠権で守る
講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏
講師:大野総合法律事務所 弁理士 酒谷誠一氏
2020年4月から改正意匠法が施行され、サーバーから提供された画像(以下、サーバ提供画像)についても意匠権の保護対象になりました。ユーザーが操作をするためのサーバ提供画像、もしくは操作の結果のサーバ提供画像が新たに意匠権の保護対象になります。SaaSの場合、競合の模倣の抑止として意匠権の重要性が増してくると考えられます。今後は、ユーザー端末側の処理について特許権を押さえるとともに、Webサービスやアプリ画面に表示される特徴的な画像について意匠権を押さえていくといいでしょう。
なお、すでに運用しているサービスであっても「新規性喪失の例外」という制度を利用して、過去1年前までさかのぼって意匠権を取れる可能性があります。直近1年以内にリリースしたアプリには限られてしまいますが、他社に真似をされたくない画面については意匠権を取っておいたほうがいいので、ぜひ精査することをオススメします。
SaaSの特許戦略としては、ビジネス全体の特徴的な処理形態について広く特許を取っていく戦略と、機能ごとに特許化する戦略の2つがあります。新しいビジネスとはいえ、ビジネスモデル全体をカバーする特許を取るのは難しい場合がありますが、個々の機能を権利化するのは比較的容易です。SaaSは、徐々に機能をアップデートしていくことが多いので、新しい機能をリリースする前に、特許出願及び意匠出願を検討するといいでしょう。