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落とし穴事例

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落とし穴2:コア技術の出願前に学会・論文発表や共同研究先への開示を行ってしまい、基本特許を取れない

よくあるケース

VCがある大学研究者の研究成果の特許に目をつけ、CEO候補の人材とともに研究者に会いにいきました。研究者とも会社設立に向けて意気投合し、会社設立の際はその研究者が技術顧問として加わることに合意し、大学には特許のライセンスを相談してくれることになりました。

会社設立後、大学から特許のライセンスを受けることになりましたが、一部の重要な研究成果が権利化されていないことがわかりました。そして、研究者によると「その研究成果は実はすでに学会で発表している」ということでした。さらに、「応用した研究成果を来週の学会で発表する」ともいわれ、投資家とCEOは途方にくれました。

この落とし穴の類似パターン

  • VCが「大学のこの技術がおもしろそうだ」と思ってCEO候補とともに会社を設立したが、研究者はベンチャー企業に興味を持たず論文をどんどん発表してしまう。
  • 研究者が学会発表前に大学知財部に対して「特許出願をしたい」と申請したが、「発明の価値が低い」と言われて特許出願が認められなかった。学会発表まであと1週間しかない。
  • 会社設立後、大企業から連携の打診があった。エンジニアは喜んで、出願前にプロダクトのデモをしてしまったり、革新的な素材のサンプルを提供してしまったりする。

対策:ベンチャーの創業に使う研究成果について、出願時期と論文発表のタイミングを考える

ポイント1:学会・論文発表、デモ、サンプル提供、ピッチ・プレゼンによる公知化に注意

学会・論文発表、デモ、サンプル提供、ピッチ・プレゼン等により研究成果を公知化してしまうと、特許や意匠の新規性の要件を満たすことができず、権利化できなくなってしまう。特にCEOと研究者が異なる場合は、CEOが研究者の学会・論文発表予定を把握していないため、発表によって公知化してしまうこともある。事業に使う研究成果はどの部分かを明確化し、知財の権利化と学会・論文発表のタイミングをよく検討することが重要である。また、他者にサンプル提供する際は、営業秘密の漏洩にも注意が必要である(落とし穴8のポイント3参照)。

ポイント2:学会発表をしなければならない時は発表内容を一般化し、後で特許出願できるようにする

出願前だけれどもどうしても学会発表をすることが決まっている場合は、例えば、発明の具体的な構成要件はなるべく発表せずに、一般的な内容にとどめる等、発表内容に細心の注意を払う必要がある。知財専門家に発表原稿のレビューを依頼するのも有効だ。

ポイント3:公知になってしまっていたら別の実現方法を考える

出願前にすでに自身で公知化してしまった場合、1年以内であれば新規性喪失の例外規定を適用すれば、権利化が可能である(特許法第30条)。または、別の研究成果で事業を実現できないか、また、それを権利化できないかを検討する。

参考事例
投資にあたり特許の出願と論文投稿のタイミングを研究者と合意

ある研究者が大学の技術をもとに起業を行うことになり、当ファンドも出資を決めた。その際に、ファンドと研究者との間で「基本特許を出願するまでは、絶対に論文は書いてはいけない」という合意をした。さらに、基本特許を出願した後には、海外の一流の論文誌に限り論文投稿を行うように求めた。その分野で最も権威のある論文誌に掲載され、海外の投資家からの問い合わせが殺到した。その後、米国のベンチャーキャピタルから総額数億円の資金を調達できた。

(国内大学ギャップファンド)

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