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バイオ・ライフサイエンス

ライフサイエンス/バイオ系(3)
アカデミア特許は穴だらけと思っておくこと

業種や業務、技術カテゴリーなど分野別の知財戦略を専門家にヒアリング。
当該ジャンルの起業・スタートアップに必須の基礎的な知識をお届けします。

テーマ:バイオ・ライフサイエンス

  • 講師

    阿部 浩之 氏

    • 国立研究開発法人国立成育医療研究センター
      開発企画部 知財・産学連携室長
  • 監修

    森田 裕 氏

  • 監修

    大門 良仁 氏

 アカデミア特許の課題は、とくに医薬品の場合、企業から見たら穴だらけと言われることもあります。

 医薬品の開発はひとつの化合物ですべてが完結するわけではありません。より効果が強い、より副作用が少ない、より標的への選択性が高いなど、よりよい化合物を見つけるためにはリード化合物を見出したのちに、その側鎖を変えるなどしていろいろな化合物を検討していくわけですが、どこまで特許がカバーしているかが重要になります。周辺化合物まで特許が及ばなければ、別の会社が同じような薬を次々と作ってくる可能性があります。

 なるべく汎用性が高く、他社が真似できない特許が求められますが、企業が求めるレベルの特許にするためには、研究予算が足りなかったり、そこまで考えが及ぶ人材が不足しているのが実情です。「ヘタな特許はアカデミアで取ってくれるな」という意見もあります。一方で、特許を取る前に企業に相談できればいいのですが、特許出願前の基礎研究の段階では評価が難しく、企業はなかなか相手にしてくれません。特許があいまいな状態で企業に協力を求めると、のちに研究者と製薬会社と権利訴訟などのトラブルを招くことにもなりかねません。

 ノーベル生理学・医学賞を受賞した北里大学特別栄誉教授の大村智博士のケースでは、構想段階から自身で特許戦略を考え、相手企業との契約書を自分で作ったそうです。企業側からは、すべての権利譲渡を求められましたが、大村博士は、ライセンス契約にしたことで多額の特許ロイヤリティ収益が得られています。

 とはいえ、自力で知財戦略を立てることを研究者に求めるのは酷な話ですから、本来であれば、研究者の近くに企業の導出をサポートする専門家がいるべきです。

 実用化を目指してAMEDの研究成果を企業に紹介する方法として、「AMEDぷらっと」(https://www.amed.go.jp/chitekizaisan/amed_plat.html)へ登録して、広く会員企業に見てもらう方法があります。また、科学技術振興機構(JST)の新技術説明会や大阪商工会議所の主催するDSANJ(Drug Seeds Alliance Network Japan)に参加すると、興味のある企業とのマッチングの機会が得られます。

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