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バイオ・ライフサイエンス

ライフサイエンス/バイオ系(5)
海外展開を成功させるポイント

業種や業務、技術カテゴリーなど分野別の知財戦略を専門家にヒアリング。
当該ジャンルの起業・スタートアップに必須の基礎的な知識をお届けします。

テーマ:バイオ・ライフサイエンス

  • 講師

    阿部 浩之 氏

    • 国立研究開発法人国立成育医療研究センター
      開発企画部 知財・産学連携室長
  • 監修

    森田 裕 氏

  • 監修

    大門 良仁 氏

 医薬品・医療機器の開発には膨大な費用と期間がかかるため、そのコストを回収するにはグローバル展開は必須です。

 国内の企業にシーズを引き取ってもらって事業化したとしても、海外展開が望めないと、十分な利益が望めないことがあります。また、特許制度および薬事承認制度は、国ごとに違いますから、早い段階から世界展開を見据えたうえでのマッチングや開発を進めていくべきでしょう。

 そこで考えておくべきなのは、日米の医療保険制度の違いです。米国は日本のように皆保険ではないので、費用対効果の合理性がより求められます。既存の製品・サービスよりも安く、いい結果が出せれば、大きく普及する可能性もあるわけです。場合によっては、日本よりも先に米国で出すことも検討するといいでしょう。医療機器の場合、海外で承認を取っておくと、日本での承認が取りやすくなるというメリットもあります。

 海外進出についての相談は、それぞれの分野によって異なります。医療機器であれば、海外製品を輸入している医療機器メーカーのOBを当たってみるのも手です。各国の承認制度や保険制度についての相談は、日本貿易振興機構(JETRO)で受け付けていただけますし、マッチングイベントも開催しています。

 ドラッグリポジショニングによる医薬品開発の場合は、海外でその薬が承認されているかどうかが海外進出を考える際に重要になります。日本発の医薬品で、国内ではすでにジェネリックも出ているような場合でも、海外では承認されていない場合、新薬扱いで発売できる可能性があります。値段についても、ジェネリックが発売されている日本ではたとえ画期的な新効能でも薬価を上げることはできませんが、海外(特に米国)では新薬として高い薬価を期待することもできます。

 国内で承認になっているのであれば、承認を取った時に使ったデータが海外でも使えるかもしれません。海外進出と同時に、オリジネーターである国内企業との交渉も必要となってきます。いずれにせよ、大事なのは、誰に聞きに行けばいいのかを教えてくれる人に出会うことです。

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