Learn〜先輩事例を学びに〜

知財の基礎情報や、先輩起業家のインタビューを紹介します。

バイオ・ライフサイエンス

ライフサイエンス/バイオ系(6)
資金調達と製品ニーズについて

業種や業務、技術カテゴリーなど分野別の知財戦略を専門家にヒアリング。
当該ジャンルの起業・スタートアップに必須の基礎的な知識をお届けします。

テーマ:バイオ・ライフサイエンス

  • 講師

    阿部 浩之 氏

    • 国立研究開発法人国立成育医療研究センター
      開発企画部 知財・産学連携室長
  • 監修

    森田 裕 氏

  • 監修

    大門 良仁 氏

 医療系スタートアップは、臨床試験をしなくてはならないので、そのための膨大な資金が必要です。

 2003年の薬事法の改正で、医師主導治験という形で、アカデミアの研究者が自分たちの力で実用化を進めていけるようになりました。具体的には、医師が治験を立案して実施した治験データを企業が引き取り、申請データとして使える制度です。企業と契約する前に研究者が臨床試験を行なうことになるので、そのための資金として頼りになるのがAMEDの研究費です。

 しかし、AMEDでせっかく医師主導治験をしたものの、引き取り手の企業が見つからず、実用化に至らないことが最近の課題となっています。医師主導治験の結果、効果があることがわかったとしても、それがビジネスになるのかは別問題だからです。

 医薬品の場合、承認申請するだけで数千万円がかかりますし、対象患者が少ない難病の場合は、その費用を回収だけでも困難でしょう。企業とのマッチングはどうしても難しくなります。

 もう一つの方法は、理解のあるサポーターやVCの協力を得て、医師自身が起業する方法です。自分が診ている患者だけではなく、同じ疾患で苦しんでいる多くの患者に対して救いの手を差し伸べることができる半面、慣れない会社経営や資金調達にも頭を悩ますことになります。

 また、医薬品は専門性が高く、製薬会社は概して大企業なので、薬事や開発部門のOBには経営のことはわかりませんし、会社経営の経験者が医療や薬事に精通しているとは限りません。スタートアップの会社運営に協力してくれる人とうまく出会えるかどうかにかかっています。VCから適切な人材を紹介してもらえるといいでしょう。

 医療系のビジネスは、上市するまで長い道のりです。実用化の可能性があるのか、本当に医療現場のニーズがあるのかをよく考えたうえで、そもそも開発すべきなのかを判断することが重要です。