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バイオ・ライフサイエンス

ライフサイエンス/バイオ系(7)
バイオは知財が必須。海外出願も忘れずに押さえておこう

業種や業務、技術カテゴリーなど分野別の知財戦略を専門家にヒアリング。
当該ジャンルの起業・スタートアップに必須の基礎的な知識をお届けします。

テーマ:バイオ・ライフサイエンス

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    講師

    島田 淳司氏

    • 東京大学エッジキャピタルパートナーズ(UTEC)  
    • ベンチャーパートナー・シニアエキスパート(IP)
  • 監修

    森田 裕 氏

  • 監修

    大門 良仁 氏

 バイオ関連業界は、知財で成り立っています。EXITとして上場を目指すにしても、製薬会社との大きな提携をすることが大きなマイルストーンになります。アセットに対して評価するとき、知財が取れていないと評価の土俵に上がることすらできません。治療薬の開発にせよ、プラットフォームの研究支援にせよ、いずれにしても知財がないとまったく話にならないというのが大前提です。

 バイオ系スタートアップの経営者であれば、こうした知財の重要性は十分に理解されていることと思いますが、それでも抜け落ちることがあります。大学発スタートアップの場合、大学から特許出願するケースが多いため、きちんと知財は押さえられているだろう、と油断しがちです。

 しかし、大学の予算には限りがあるので、海外出願まではしていないことが多いです。すると、シーズが伸びたときに初めて、国内の知財しか押さえていなかった、とあわてることになります。海外の知財が押さえられていなかったことが原因で、事業化に至らなかったケースも実際にあります。

 個人の研究者が起業の可能性を考えて、出願するかしないかを判断するのは非常に難しいところです。常にアンテナを張り、最新の技術情報、世界の動向をチェックしなくてはなりません。しかし、イノベーティブなものは突然出てきます。当時はモノになるとは思っていなかったものが、10年後に突然、爆発するかもしれないのです。大学の研究成果を活かし、次の知財に投資していくためにも、大学の知財担当者は、将来の可能性も見据えて、しっかりと目利きをしていく必要があるでしょう。

 一方で、大手製薬企業は潤沢な資金があるので、PCT加盟国のほとんどに出願して海外を網羅するのが基本です。スタートアップは予算が限られるので、まずは市場の大きな米国・欧州・中国を押さえておくといいでしょう。翻訳費用を含めると、予算は500~600万円程度という認識をまずは持ちましょう。(注:もちろん費用はケースバイケースです。どの国に移行手続を行うかでも変化します)。VC等から資金調達をして、知財費用をしっかり確保する必要があります。資金調達が足りないときは、公的な支援制度を活用するのがオススメです。

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