IP Specialist〜専門家の知見を共有〜

スタートアップの知財を支援する専門家向け手引き書

4.出会い方、コミュニティに入ろう

"スタートアップと働いてみたい”そんな気持ちはあるけれど、知財支援を必要とするスタートアップとどうやったら出会えるかがわからない、もっとスタートアップのことを知ってから業務としてスタートさせたい、このように考えている知財専門家も多いのではないでしょうか。
 このような知財専門家のニーズに応えるよう、スタートアップが「まず見るサイト」、知財専門家と「つながるサイト」として、知財コミュニティポータルサイト「IP BASE」が特許庁により運営されています。スタートアップやベンチャーキャピタル、アクセラレーターなどと、弁理士や弁護士などの知財専門家が共に参加するスタートアップ知財コミュニティの形成を目指したサイトです。「IP BASE」には、知財意識の高いスタートアップCEOや投資家へのインタビュー記事、スタートアップ支援実績のある知財専門家へのインタビュー記事、スタートアップ向けの知財支援施策情報等が掲載され、スタートアップにおいてどのような知財支援が必要とされ、あるいは行われているのかを知ることができます。
 また、「IP BASE」にはスタートアップと知財専門家が登録できるメンバーサイトが開設されています。ここでは登録メンバー向けに、①各専門分野の知財専門家をキーワードや専門分野別に検索でき、個別にコンタクトを取ることも可能な知財専門家検索機能、②スタートアップからの質問に知財専門家が回答するオンラインQA機能、③スタートアップや知財専門家に向けた小規模勉強会、が提供されています。このメンバーサイトに知財専門家として登録することで、知財支援を必要としているスタートアップ関係者と知り合い、またスタートアップ支援を行う知財専門家同士で学び合う機会が得られます。さらにTwitterやfacebookにもIP BASEのアカウントがあり、スタートアップと知財に関する情報を得ることができます。早速フォローしてみてはいかがでしょうか。
 以上のようなウェブ上での情報発信に加え、実際に当事者同士が交流する場として、スタートアップやベンチャーキャピタル、アクセラレーター、知財専門家等が集まるセミナー・イベントが通年でIP BASEにより企画・実施されています。2019年度は“スタートアップと弁理士”、“資金調達と知財”等をテーマにしたセミナーが行われました。このようなイベントに参加し、スタートアップ・エコシステム関係者とのコネクションを作ってみるのもよいのではないでしょうか。
 このほか、特許庁事業である「知財アクセラレーションプログラム」(IPAS:Intellectual Property Acceleration program for Startups)では、登録された専門家向けに「ナレッジシェアプログラム」が開催されています。スタートアップ支援の意志を持ち集まった専門家がお互いの知識や経験をシェアする場を設けることで、互いに学びつつ、ネットワーキングの機会とすることを目的としたものです。具体的には、年に3回程度、登録した専門家やスタートアップを集め、セミナー形式や専門家によるパネルディスカッションが企画・実行されています。
 また、MeetUpと称したスポットメンタリングが実施されています。これは5~6社程度のスタートアップに対して、登録した複数の専門家が1回のみのスポットでメンタリングを行うもので、スタートアップは専門家からのアドバイスが得られ、専門家にとってはスタートアップの抱えている課題を知る機会となっています。
 このナレッジシェアプログラムはスタートアップなどスタートアップ・エコシステム関係者と知財専門家の距離を縮める機会になっていますので、ぜひIPASの専門家に登録し参加してみてください。
 もちろん上記した特許庁によるイベント外にも、スタートアップや起業を志す人のためのコミュニティは全国に存在します。このようなコミュニティでの関係者向けのイベント・セミナーに加え、ベンチャーキャピタルやアクセラレーターによるスタートアップ向けイベントも数多く開催されています。これらは、各地のコワーキングスペース等のウェブサイトやイベント情報サイト※からその内容や開催日時の情報が得られます。このような機会に参加し、他の参加者と交流していくことで、スタートアップ関係者とのネットワークをさらに広げることができます。
 東京のみならず、全国各地域にも、自治体や地元のIT企業が興す形でのコワーキングスペースやインキュベーター関連の施設、団体、イベントなどがあります。本冊子でも一例として記載しますが、掲載されているもの以外にも、大学関連や大手企業、投資家関連でのコミュニティが多数あります。
 まずはこのようなところで開催されているイベントに参加してみて、実際の空気感や参加者が求める部分に、個人・専門家として負担のない範囲でギブできるものがあれば、そこから始めてみるのもです。
 また、各種スタートアップ支援プログラムの中には、プロボノ活動としてサポーターを募集しているものもありますし、コワーキングスペースで知財を含めた法務面でのメンタリングを提供し、スタートアップとの関係を構築している事務所も存在します。
 まずは、自分の興味・関心に合った形で、スタートアップの世界に一歩踏み入れてみてはいかがでしょうか。

※ イベント情報サイトとして、例えば、Peatix(https://peatix.com/)やEventRegist(https://eventregist.com/)、 TECH PLAY(https://techplay.jp/)などがあります。