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IPASを通して見えた知財メンタリングの基礎

3.知財戦略構築事例

Day0 メンタリング開始までの準備

メンタリング先が決まってから、初回の面談に向けて、どのような準備をしていけばいいのでしょうか。準備の考え方は、ビジネスと技術で大きく異なる傾向にあるようです。



Story

 明日はIPASの初回メンタリング。
 「なかなかとがった技術のようだが、まだまだよくわからない部分が多いな・・・」  弁理士の近藤は、自らが知財メンターとして担当する研究開発型スタートアップが「株式会社 Zentral Fluss(以下、ZF社)」に決まってから、ホームページをはじめ関連特許等について、可能な範囲で様々調べてきた。初回から、研究開発型スタートアップの信頼を得るには、技術について何らか答えを出さなければならないことは、実務で嫌というほど理解できている。
 ただ、やはり文字情報だけだと、わからないことが多すぎる。

 VCの片桐も下準備に余念がなかった。
 「毎度のことだが、技術の理解は本当に骨が折れる・・・」
 片桐は、ビジネスメンターという立場であるものの、技術については相当な下準備をしてメン タリングに望むことにしている。一方で、ビジネスについては、ホームページの会社情報を見る 程度にとどめることが多い。
 社長の意思を最大限尊重したい片桐にとっては、偏ったイメージを持って、メンタリングに臨 みたくないからだ。

解説

・初回メンタリングの前に、技術については可能な範囲で理解をしておく
• ビジネスについては、余計な先入観を抱かない範囲で情報収集を行う

1.技術に関する下準備
 研究開発型スタートアップの技術は、その分野でも最先端の技術であり、また、他社に類似のものがない技術であることが少なからずあります。
 こういった技術を初回メンタリングでゼロから理解することは難しく、ましてや、下調べゼロの状態で、初回からメンターとして研究開発型スタートアップに信頼してもらうのはさらに困難なことです。
 そのため、研究開発型スタートアップの技術については、できる限り事前にインプットしておきましょう。
インプットする内容は、ホームページにとどまらず、類似技術の特許情報を検索することや、事前に研究開発型スタートアップからピッチ資料を取り寄せることも重要です。
 これは、知財、ビジネスどちらのメンターにも共通して必要なものだと考えられます。

2.ビジネスに関する下準備
 研究開発型スタートアップのビジネスで最も重要な要素は、創業者の想いや目標であり、ビジネス面については偏見なく創業者等の想いを聞くことに主眼を置くことになります。そのため、メンタリング開始前の情報収集は、余計な先入観を抱かない範囲にとどめた方が良い場合もあります。  また、研究開発型スタートアップのビジネスや製品・サービスは、ホームページに掲載されていないものも多く、試行錯誤を通じてスピード感を持って変化していくものであると考える事が重要です。
 既存のビジネスや製品・サービスありきで知財戦略を考えるのではなく、メンタリングを通じて、経営者のビジョンから将来的なビジネスや製品・サービスを一緒に考え、そこから知財戦略を立案しようとする姿勢が重要になります。




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