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IPASを通して見えた知財メンタリングの基礎

Day7 メンタリングの成果を研究開発型スタートアップに残す

いよいよメンタリングも本日で最後となります。IPASでは、単に知財戦略を描くだけではなく、いかに研究開発型スタートアップに知財活用の知見を残し、今後自社である程度の知財の検討ができるようになるかも重視しています。

Story

 「では、これからZF社のIPAS成果報告会を開催します。私は、本日司会を務めますビジネスメンターの片桐です。よろしくお願いいたします。」
 IPASの取組や成果を社員に報告する成果報告会が始まった。

 この成果報告会は、元々実施が決まっているものではなかったが、片桐が発案し最終日に実行することになったものである。きっかけは、先日の仲川からの電話であった。

 仲川が言うには、ZF社は、社員30人の会社のうち約25人が技術者という技術優位な会社であり、先端技術を追い求める集団であった。逆に、なかなかビジネスについて話せる相手はおらず、ましてや知財をビジネスに活用するといった発想はほぼないという社風であった。
 そのため、高い技術力を有するものの、これまでZF社として特許は取っていなかった。
 「私は、お二人のメンタリングを受けて、ビジネスにおける知財の役割や重要性をしっかりと理解することができました。こういったことを、是非社員にも理解してもらいたいんです。」
 このような仲川の想いを受けて、本日の成果報告会が実現したのであった。
 「続きまして、仲川社長から今後のZF社の事業計画及び知財戦略についてご紹介いただきます。」
 ZF社の知財活用がここから始まる。

解説

・将来的な自走を目的にメンタリングで取り組んだことを文書化して残す
・時には、社内向けのプレゼンを行うことで、知財マインド醸成に寄与する


1.取組を文書化して残す
 メンタリング後も、研究開発型スタートアップが自らの力で知財に十分に取り組めるよう、メンタリングのノウハウや支援を通じて創出された成果を何らかの形として残すのが有効だと考えられます。
 残す形態や内容は、様々ですが、実際に取り組んだことやそのポイント等を文書化することが良いのではないでしょうか。

2.会社の知財マインド醸成に寄与する
 さらに、例えば最終日に幹部や社員に集まってもらい、一連のメンタリングでどのような取組を行ったのか、そしてそこからどういったアウトプット(知財戦略等)を出したのかを披露する成果報告会のような場を設けることも有効です。
 なぜなら、研究開発型スタートアップの中には技術面の探求を好む社員が多くいますが、彼らの中には、知財をビジネスにどう活かすのかといったことにはあまり関心を持てていない社員も存在します。
 成果報告会で社長が知財戦略について語ることで、上記のような社員たちの知財マインド醸成につながることが期待できます。



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