2.プログラムを通じて把握した課題と対応策
課題13 社内で知財の情報が共有できていない
社内での重要な特許を把握していなかったり、それを共有する機会がない。
Point
・社内の知財の棚卸をして各知財の必要性や関係性を認識し、ビジネスに活用しましょう。・知財の情報を共有できる仕組みを作りましょう。
事例㉓ 保有する多数の特許を効果的に管理する
1.スタートアップの課題
スタートアップは、国内外で多くの特許を保有し、知財担当者も配置していましたが、効果的な知財マネジメントを遂行できていませんでした。
これは、保有している特許の重要性が知財担当者と経営陣の間で共有されておらず、組織的な動きが困難であったためと考えられます。
2.IPASでの対応
メンタリングチームは、スタートアップが社内で特許の状況を共有する際に有用な特許の整理フォーマットを提供しました。
スタートアップは、フォーマットに沿って特許の一覧表を作成しました。
メンタリングチームは一覧表をもとに、スタートアップが保有する特許のうち、現在の事業にとって重要と考えられる特許がどれなのかを議論し、今後の特許の整理方針を設定し、スタートアップ社内に共有しました。
多くの特許を保有するようになると、各特許の必要性や関係性等がわからなくなる場合があります。そのため、一覧表を作る等いつでも自社の知財の状況を把握できる環境を整えておきましょう。
事例㉔ 権利化できそうな技術の掘り起こしを仕組み化する
1.スタートアップの課題
スタートアップでは、自社にとって知財は重要であるとの認識はありましたが、特に知財戦略や自社の保有する知財の情報を社内で共有する場を設けていませんでした。
そのため、権利化できそうな技術があったとしても社内で埋もれてしまい、権利化の機会を逃してしまうという懸念がありました。
2.IPASでの対応
メンタリングチームは、スタートアップが検討している事業のうちの1つを例に取り上げ、知財戦略構築のケーススタディを行いました。
その上で、ケーススタディを一般化し、月1回程度の勉強会の開催等どのように技術シーズの棚卸を行うのか、知財についてどのタイミングで専門家に相談するのか、特許の取得・維持にどの程度お金がかかるか等の手続の整理と、知財戦略を考える際のポイントをまとめ、知財戦略手順書を作成しました。
これにより、シミュレーションした事業だけではなく他の事業にも応用が利く知財戦略構築のケーススタディとなりました。
3.本事例のkey factor
毎月1回程度の勉強会を実施する等して、出願可能な技術の洗い出し、競合の出願動向調査、最新の判例の検討等の情報を社内で共有しましょう。