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知的財産デュー・デリジェンス標準手順書及び解説

1. デュー・デリジェンス総論

(1)デュー・デリジェンスとは

スタートアップ企業への出資や事業提携、そして企業買収(以下、併せて「出資等」といいます。)の検討は、対象会社の技術力や事業の将来性等について、ビジネスにおける自社とのシナジーや将来のキャピタル・ゲイン等の何らかの利益に魅力を感じることから始まります。

しかし、実際に出資等に踏み切るためには、

  1. ① 対象会社が事業を継続していく上で大きなリスクを抱えていないか
  2. ② 対象会社の技術力や将来性の価値は投資額に見合っているか

などを、事実と証拠に基づいて、経営者や株主に合理的に説明できるようにしておく必要があります。

このように、出資者や提携を検討する事業者等(以下、併せて「出資者等」といいます。)の側において、対象会社のリスク評価及び価値評価のための調査と検証を行うことを、

デュー・デリジェンス(Due Diligence)

と呼びます(以下、「DD」といいます。)。

代表的なDDには、対象会社の事業活動に法律上のリスクがないかを調査する「法務DD」や、対象会社の過去の税務処理に不備がないかを調査する「税務DD」など、主としてリスク評価の観点から行われるタイプのDDがあります。一方、対象会社の事業活動を経営・経済的に分析し、期待されるシナジーやキャピタル・ゲインが得られるかを検証する「ビジネスDD」など、主として価値評価の観点から行われるタイプのDDもあります。財務会計処理が適正に行われているかと、企業価値と投資額が釣り合っているかを検証する「財務DD」などは、リスク評価と価値評価の両方の側面を有しています。

このほかにも、従業員の人事評価システムや雇用状況などを確認する「人事DD」や、対象会社のIT/ICTのインフラの構成や運営状況を確認する「ITDD」など、主として企業買収後の統合作業(Post-Merger Integration)(以下「PMI」といいます。)の便宜のために実施されるDDもあります。

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