1. デュー・デリジェンス総論
(4)本標準手順書の使用上の注意
本標準手順書では、まず、知財DDに限らない一般的なDDの流れを理解するために、一般的な出資等のプロセスについて説明します(後記(5))。その上で、知財DDの手順の一例を説明します(後記(6))。
なお、本標準手順書は知財DDを効率的に行うための手順の一例を挙げるものであり、知財DDにおいて実施すべき調査の水準を示すものではありません。すなわち、
本標準手順書に記載のあるすべての調査事項を調査しなければ、経営上の善管注意義務違反や忠実義務違反となるということはありませんし、調査事項についての不備が、対象会社への投資判断に常にネガティブな影響を与えるということもありません。
例えば、出資額が少額であったり、経営判断としてリスクの低減よりもスピードを重視するような場合には、必要最低限の調査項目に絞り込み、事後に調査範囲外で問題が顕在化したとしても、それは投資リスクとして読み込むべきものであり、ミスではないと考えることもできるでしょう。
また、知財DDで発見されるリスクに関する指摘事項については、修正・治癒させることが容易なものや、企業の成長ステージに照らして事後的な対応でも間に合うものもあります。仮に、知財DDを行っても明確な結論がでなかったものがあっても、投資リスクとして出資者等の側で引き受けたり、対象会社に一定のコミットメント(ある時期までに是正する等)を約束させることで解決できることもあります。
個別案件における具体的な手順については、本標準手順書を参考にしつつも、個別案件に応じて創意工夫をすることが必要です。