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知的財産デュー・デリジェンス標準手順書及び解説

2. デュー・デリジェンス各論

(2)知財DDの手順

(i)知財DDの全体的な進め方

知財DDも、基本的にはその進め方について一般的なDDと変わるところはありません。

すなわち、大きく分けて、①資料開示請求、②資料調査、③関係者インタビュー、④文書による質問(Q&Aシート)、という各調査手順があり、これらを適宜の順序で進めることになります。

進め方の順序は、①から開始することが一般的であるが、それ以降の調査はケースバイケースです。すなわち、②の後に③に進み、それと並行して④を行う場合もあれば、①の後にまず③で概要を把握し、それから②を行う場合もあります。資料の開示が遅れる場合もあり、そういった場合は、③や④を先に進めておくこともあります。

前記の通り、知財DDの手順や調査範囲を考える際には、各対象会社やその事業の特性に合った工夫をする必要があります。特に、創薬や素材分野など、特定の技術シーズの価値と事業価値がほぼ同じで、その対象技術等の将来性に業績を左右されるスタートアップ企業などの場合には、対象会社自体の保有する知的財産権の利用可能性・利用可能範囲の調査はほぼ必須となります。一方で、情報通信分野(いわゆるテック系)のように、個々の知的財産権の重要性が限定的な場合や、調査の緻密さより事業の立ち上がりのスピード感を重視すべき場合などは、実務上は調査範囲を限定するか、又はそもそも調査を省くことも選択肢としてあり得ます。知財DDでは、調査の初期段階で事業内容を把握して、調査対象の絞り込みを行い、調査の必要性と難易度を踏まえた上で、効率的な資料提供の要請やヒアリングの方法を考えていくことになります。

そこで、この標準手順書では、そういった知財の特殊性に着目した手順の一例を示しています。ここでは、手順1から5までを順に並べていますが、場合によっては手順の前後が入れ替わる可能性や、前の手順に戻って繰り返す必要があります。

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